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#イベントレポート

読売テレビ×京都市 アニメ放送55周年記念『MANPA』オープニングムービーコンテスト 最優秀作品が4月からオンエア!

2023.04.19

イベントレポート2

KYO-CCE Labの企業連携プロジェクト第1弾は、読売テレビ(ytv)とのコラボが実現!

京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)の開催当初から交流・連携を深めてきたytvが、2022年にアニメ放送50周年記念を迎えるにあたり、何かコラボ・プロジェクトはできないかと、話合いを始めました。
そして、在阪局として多くのヒットアニメ作品(「名探偵コナン」「僕のヒーローアカデミア」等)を送り出しているytvと、東京に続く、日本の第2のアニメ制作・アニメ産業拠点を目指す京都市がタッグを組んで、「関西のアニメ人材育成に資するプロジェクト」を実施することで意見が一致し、ytvの放送対象地域の2府4県(京都府、大阪府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)在住のアニメーション制作を学ぶ学生(個人・グループ)及び、アマチュアのアニメーション制作者(個人・グループ)を対象に、2022年11月から「深夜アニメ枠『MANPA』オープニングムービーコンテスト」をスタート。
5ヶ月のプロジェクトを終了し、最優秀賞作品が、この4月から月曜日深夜1時59分に流れ始めました!

最優秀賞&優秀賞作品がYouTubeの読売テレビ アニメチャンネルで配信中

プロジェクトを振り返る

【1】2022年11月2日 基調講演&コンテスト応募説明会(リアル&オンライン)を開催


①読売テレビ編成局アニメーション部 部長・チーフプロデューサーの永井幸治氏による基調講演

永井プロデューサーの基調講演では、時代とともに変遷するアニメの位置づけや、かつて主流であったテレビ番組としてのアニメ、現在のアニメ制作技術の進化とクリエイターの必要性などについて、ご自身の知見を交えてお話しいただきました。

②同局アニメーション部 プロデューサーの中田博也氏による新ロゴの説明とコンテストのテーマの発表

Pの中のオレンジ色の丸はytvのロゴのvの上にある10ボールも表し、Pは楽しい何かが見えるようなのぞき穴。


中田プロデューサーからは、『MANPA』という深夜アニメ枠の特徴や新しいロゴに込められた意味やムービーの中での使い方ルール等の説明後、オープニングムービーのテーマ(コンテストのテーマ)は、「深夜のワクワク感」と発表されました。

また、コンテストで最優秀賞となった作品は、京都市出身で、「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」など数々の音楽の作曲をてがけている林ゆうき氏と音源制作ができ、4月からテレビで放送されることも合わせて発表。

③両プロデューサーと参加者による質疑応答トーク

その後、お二人のクロストークでは、参加者の皆さんからの質問を受ける形で進み、「深夜のワクワク感」について、それぞれのイメージを語って頂いたり、永井氏や中田氏のようなプロデューサーという職業を目指すにあたって学生のうちに経験しておくべきことや、センスの磨き方ついてもそれぞれのご経験などを踏まえながら語っていただきました。

【2】2022年11月3日〜12月2日 企画書募集期間


2府4県の芸術系の大学や専門学校、アニメ関係の部活やサークルなどに、直接コンテストの案内を送付、コンテスト専門のWeb媒体、登龍門や公募ガイドに募集案内を掲出。
説明会に参加できなかったり、後でコンテストを知った方々に、両プロデューサーのお話を聞いて頂きたく、応募ページにてアーカイブ動画を公開。

*アーカイブ動画はこちらから試聴できます。

1ヶ月という短い期間にもかかわらず、1府4県(和歌山県以外)から多くの応募がありました。

【3】企画書提出・確認・ロゴデータ受渡〜2023年2月10日 ムービー提出期間

この期間では、相談の機会や、アニメ制作のハンズオン・ハッカソンを開催。

ハッカソンは2日間の日程で行われ、Unityを使ってのアニメーションの制作方法を学んだ後に、実際にMANPAのロゴを使って10秒のアニメーション動画制作にチャレンジしました。

【4】2023年2月17日 入賞作品の発表

厳正な審査の結果、6作品の入賞(優秀賞)が決定。

作品名「色とりどりの深夜」 : 大内直哉様、相田二杜夫様(立命館大学)
【企画意図】
テレビ番組は基本的に一年を通して継続的に放送されるものという点から、キャラクター四人にそれぞれ四季を割り振り、四季を通じて様々な人が、月曜日の深夜の同じ時間には同じアニメを見るという「ワクワク感の共有」を表現しました。

作品名「フクロウのいたずら」 :
forest(フォレスト)様(同志社大学/法山真生様、坂口陽日香様、廣瀬柚萌様)

【企画意図】
深夜の象徴といえるフクロウと月を題材とし、プレゼントやくす玉、玉手箱など、なにかを開けるという動作から「ワクワク」を連想し、本作品は「開ける」動作を「割れる」に置き換えて表現しています。
また、星や文字等に多くの色を取り入れることで、MANPAがジャンルに縛られないことも表わしています。

作品名「静かな活気」 : 吉田桃菜様(京都芸術デザイン専門学校/滋賀県在住)
【企画意図】
人間が寝静まった深夜に小人が展開するところから物語が始まります。
小人たちが人間の道具を使って、ひと時の真似事遊びをして、人間のようには動かせず、数人がかりで懸命に遊んでいる小人が可愛く表現しました。

作品名「彩む(たむ)」 : たにぐちしょうた様(フリーランス/大阪府在住)
【企画意図】
視聴者は一番の主役でもある、という思いから、人物は出てきません。
MANPAを観る人の心にワクワクする気持ちが灯るように鮮やかな始まりを演出し、また、アニメを作り出す道具の主役と言える鉛筆を使いました。

作品名「ここから始まる」 : まつだす様(ゲームクリエイター/京都府在住)
【企画意図】
現在のアニメ視聴環境はテレビ以外にも様々な選択肢がある中で、あえて独りで深夜アニメの放送を観るという選択をしている人々に焦点を当て、放送が「始まる」直前の様子と、新しいことが「始まる」予感を、現実とはちょっとだけ違う世界で描きました。
 

作品名「リモートワーカー」 : 末崎桃花様(嵯峨美術大学/兵庫県在住)
【企画意図】
深夜にリアルタイムでMANPAを見ようとする人のリモコンの中の話を描いています。深夜なのでボリュームをあげるのは少しだけだったり、チャンネルを10にするなど「リアルタイム」を感じることができるよう表現しています。リモコンの中の世界がゲームコーナーのようにワクワクする世界として描きました。
 

【5】2023年2月25日 授賞式にて最優秀賞の発表

読売テレビ10ホールにて授賞式を開催。司会は読売テレビの林マオアナウンサー。
主催挨拶として讀賣テレビ放送株式会社・松本拓也編成局長、京都市・岡田憲和副市長よりのご挨拶に続き、入賞作品を紹介した後、林アナウンサーより最優秀賞「色とりどりの深夜」が発表されました。
最優秀賞は松本編成局長より、優秀賞は岡田副市長より、京都の伝統工芸である京扇子で作られた表彰状と目録(賞金:最優秀10万円、優秀賞5万円)を授与、受賞者からコメントを頂きました。
最後に、審査員長の永井プロデューサーからの講評、来賓の林ゆうき様からのコメントを頂き、無事、終了しました。


大内氏:素直に嬉しいです。この作品はテレビのリモコンボタンを押す動作をきっかけに、だんだんとテンポが早くなり、せりあがっていくようなワクワク感を表現しています。テレビの画面には視聴者自身が反射しており、アニメという虚構と現実が混ざり合っている様子を描きました。制作するのは大変でしたが、こうした機会をいただきありがとうございます。
相田二氏:月曜日感よりは、深夜に色々な人がアニメ見ている感じを描きました。企画書を作った時は本当に完成出来るのだろうか…と不安でしたが、無事完成でき、作ったものが評価されて嬉しいです。

【6】2023年3月12日 講評会

本プロジェクトの最後のイベントとして、株式会社ライデンフィルム京都スタジオ室長で演出家・アニメーターの坂本氏による講評会と受賞者の交流会を開催。
坂本氏は、NPO法人AEYAC(アニメの仕事を志す学生の就職活動、アニメの仕事に携わる新人若手のスキルアップを応援する京都市のNPO法人)の主要メンバーとしても多くの学生や若手アニメーターを応援されています。
坂本氏からは、「短い作品を作るのは難しい中、それぞれ、良くできている」との総評と、短尺作品を作る上でのポイントとして、

「ストーリーを感じさせるもの(ストーリーのバックボーンが見えるもの)」か「テーマにそって、抽象的に表現する(イメージを描く)もの」の2つの方法があり、どっちつかずになると弱くなるので、どういう方針で映像を作るのかを先に決める。そして、時間の使い方としては、ギュッと詰めるパートとゆったりしたパートで緩急をつけるのが良い。

とアドバイスを頂きました。

以下、各作品への講評。

「色とりどりの深夜」
テレビをつけるということにスポットをあてた発想がとても良く、また、テレビへの映り込みなど、細かい芸当もやっていて素晴らしいと思った。また、テンポも緩急がはっきりしていて良い。
動きの派手さが優先されている演出は、かっこいいし、見栄えもありますが、少しわわりにくい点もあったので、リモコンがはっきり見えるサイズ感にするとか、数字以外も見せるなどの演出があればさらに良かったと思う。

「しずかな活気」
幅広い年齢層に届けることを想定したアイデアが良い。
カットが短すぎて小人のカワイイ動きが十分見れなかったので、もう少し、もう少し、動きを見せられるように長めのカットを作ることができればさらに良かった。そうするためには、例えば、1カット目などは短くしても良かったと思う。

「彩む」
タイトルをしっかり見せる作品となっている。色々なパターンや、インパクトで見せる手堅い演出になっている。
発想は良いが、サッと流れてしまうので、心に残る何かがあれば、さらに良かったと思う。

「ここから始まる」
とても見栄えが良いCG作品。飛んでいる表現(2カット目)はもっと長めに観せても良かったと思う。全体の流れのテンポ感が弱→強でまとめているので、強→弱でまとめても良かったと思う。

「リモートワーク」
ポップでキャッチーさがよく出ていて、いまどき感のある作品。自分にはできないような感性の色使いをしていて、羨ましいと思った。

「フクロウのいたづら」
全体の構成などテーマに沿ってまとまり良く表現できている。
ただ、フクロウの動きや星が流れる動きなど、もっと派手にしても良かったかと思う。

講評の後は、参加者の皆さんから、坂本氏に色々な質問をしたり、和気あいあいとした雰囲気の中、有意義な時間となりました。