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#イベントレポート

「推しエコノミー」時代に求められるプロデューサーとは?~様々な経歴を持つお三方にお話を伺いました!~

2023.11.30

イベントレポート6

「京都」で活躍するプロデューサー人材育成&異業種交流イベント
〜「推しエコノミー」時代に求められるプロデューサーとは? 〜

エンタメ社会学者の中山 淳雄氏、イベントプロデューサーの鈴木 龍道氏、デザインストラテジストの金田 謙太氏をお迎えし、「推しエコノミー」時代に求められるプロデューサーとは?というテーマでお話を伺いました。

トークテーマの詳細・参加クリエイターのプロフィールはこちら

【トークテーマ1】「推しエコノミー」について
中山氏のお話をまとめると、
・「推しエコノミー」とは、コンテンツを一方的に消費するだけだった「ユーザー」が、制作サイドと一緒になってコンテンツ作りに参加していく、投げ銭など直接、金銭的にも応援していく「ファン」に変容している世界を表現した言葉。
・非購入層も大事。今の人は「調べる」→「興味を持つ」→「リサーチ、比較する」…→「購入」と購入に至るまでが長い。よって、購入しなくても情報をシェアしたり、みんなの賑やかしをしたり…とユーザーを巻き込んでいくような「非購入層」は大事である。
・ファンとアクセスを持たない企業は衰退する。囲い込むのではなく、コミュニティーを持って一緒に持ち上げる仲間を作ることが大事になってくる。
・購入/非購入ではなく、ビジョンを明示しファンを作り、ファンとして参加できる余白を作り、「共創」をビジネスシステムに入れる。隙がある方が「俺らの力で(有名にしてやろう)」と押し上げる効果が働く。

これらの話を聞いたモデレーターの金田氏は、「メディアのあり方が変わった。昔はテレビなどのマスメディアで情報を得ていたが今の時代はSNS。大きく認知を広げるという重要性よりも熱量の高いお客さん、ユーザー、ファンを抱える方が重要度が上がっている」とコメントしました。また、「余白が重要というキーワードが出てきたが、どうやって作るのか?」という金田氏の質問に対し、中山氏は「ストーリーを決め込まないことが大切で、ファンが妄想できる余地を仕込むのだ」と回答しました。

【トークテーマ2】ファン≒クリエイターの共創について
鈴木氏の話をまとめると、
・東方とは個人で、趣味で作ったゲームで、東方Projectはストーリーがほぼない。よって、人それぞれ解釈が異なる。特に何もアナウンスせず、ただ見守る空気感を作ったことで二次制作が活発になった。最低限の二次制作ガイドラインはあるが、どんなものも受け入れるという空気感がある。
・東方Projectのみを扱った同人即売会である「博麗神社例大祭」は、単独ジャンルとしては世界最大級のものとなった。
・コミュニティーを大きくするために大切なのは信用。信用を得ないと誰も手伝ってくれない。コミュニティーというのは人が作り上げているものなので、その中心人物などの手を必ず握る。するとその人が参加者やお客さんを連れてきてくれる。手を握るときに重要なのは、まずこちらがコミットすること。例えば、「自腹でこんなイベントを企画しています」など、熱量を伝えることで信頼を得る。
・共創する=みんなで創ることが大切。コミュニティーの人が来たくなる場所、使える場所を作ることで、人が集まる。コミュニティー運営(共創)とは、ファンと一緒に考え作り上げる場所。ファンは自分が作った物には愛着がわき、第三者に自慢したくなり、話題や二次創作が生まれ続け、コミュニティーが自走を始め、そこから無限の拡大生産ループが始まる。

【トークテーマ3】ファンマーケティングについて
金田氏の話をまとめると、
・有名人と一般人が同じコミュニティーにいた場合、「有名じゃない人を応援して自分が上へ持ち上げるんだ!」という心理が働く。
・4~5年前、ショールームというアプリ(ライブ配信サービス)をやっていて、一般の子たちの中にAKB48の子たちもまざっていた。有名人とそうじゃない人がいるという構造の中では、この有名じゃない子たちをちゃんと有名にしてあげようという熱量の構造がプラットフォームの中で働く。ビジネス視点でトータルをとらえると、AKBのような認知の高い子たちよりも一般人の方がお金を稼ぐという結果になった。

お三方がそれぞれの経験から「推しエコノミー」時代に求められるプロデューサーについてトークを繰り広げた本イベントは、コンテンツ系だけでなく様々な分野で活かせる内容となりました。